昔の感染症

過去の病気と思われている、おたふくかぜや百日咳など「昔の感染症」が復活の兆しを見せています。薄れる警戒心や生活習慣の変化が新たな危機を招いています。20世紀半ばの子供たちにとって、こうした感染症は通過儀礼の一種でした。しかし、60〜70年代に予防接種が普及した結果、これらの感染症は過去のものとなっていましたが・・・・。
米中西部で国内線に乗った、たった2人の感染者をきっかけに、おたふくかぜが流行し今や感染者が1000人を超えています。今回の流行が警告するのは、ワクチンは万全の予防手段ではなく、感染症のウイルスは今も“うようよ”しているという事実です。「感染症と診断される件数が減ったからといって、撲滅宣言を出すのは早すぎる」「そのせいで人々の警戒心緩み、舞い戻った病原体に襲われる」(米疾病対策センター:ケネス・カストロ氏)今回の米国での感染の特徴は、大半が子供ではなく大学生が中心に感染しているところです。その背景にはこんな原因がありました。はしか、おたふくかぜ、風疹の3種混合ワクチン(MMR)は80年代後半に改良され、接種回数が1回から2回になったが、今の世代の大学生は、より効力の低い1回接種を受けた最後の時代です。MMRと自閉症の関連が噂されたため、予防接種を受けさせなかった親もいます。よみがえる「過去の脅威」はまだあります。忘れていませんか?鳥インフルエンザもインドネシア方面では、食事に尋ねた知人の家で感染したケースもあります。くる病・しょうこう熱や記録的な低感染率が続く結核にも薬に耐性をもつ病原体が登場しています。「今はいつの時代?」と思わず言ってしまいそうな話ですが、これが21世紀の現実なのです。